こんばんは!
shiyyaです!
前回も児童相談所については
とても関心のある方が多いようなので
完結編として③をお送りします!
↓まだ読んでいない方はこちらから↓
7.退所した子供たちのその後
8.メディアの報道と実際について
9.元職員としての願い
7.退所した子供たちのその後
退所した子供たちのその後を私たちが直接確認することはほとんどありません。
研修として養護施設等に行ったり、児童自立支援施設のイベントに観覧に行ったりすることはあっても、福祉司のように定期的に訪問することはないので、児童が通所などで来所した場合以外は会う事もありません。
正しくは、会えないのです。
私たちは数か月ではありますが、彼らと非常に密な時間を過ごします。
中には職員を慕い、依存するようにべったりとしたがる児童もいます。
その子供を新たな進路に送り出して、新生活に慣れたころに、またその職員が顔を出したらどうなるでしょう?
児童は心を揺さぶられ、生活にも支障が出るかもしれません。
新しい生活の場の大人とうまくいかなくなることがあるかも知れません。
ですから、彼らが公の通所で、タイミングが合えば挨拶をしに少し顔を合わせる程度で
必要最低限以上の関りは敢えて持ちません。
持ちたいけど持たないんです。
福祉司を通じて、退所した児童のその後について耳にする程度です。
積極的に情報が入ってこない中、よく入ってくる情報もあるんです。
それは、行先からの無断外出。
特に住み込み就職した子は地方やあまり交通の便の良くないところなどが多いのですが、私の経験上は8割以上がそこから貯金して自立する前に行方をくらましてしまっていました。
とにかく幸せに過ごしてくれれば良いですが、
危険な目にあったとしてももう助けてあげられない手の届かない所にいることが
本当に悔やまれました。
私の知っている彼らももう20代半ばかと思います。
どうしているかな…
他にも、施設に行ったはずの子が2日後に保護所の裏に現れたこともありました。
私が移送に付き合ったときには施設職員みんなの前で
『頑張ります』って言ってたじゃん!!
とガクっとしました。
そういう報われない感も多い職場なのですが、
『高校に合格しました!』
なんて報告にくる子たちはとても輝いていて
正しい進路を選んだんだなぁとやりがいを感じることができる瞬間です。
特に感動した瞬間は6年間お風呂にも入ったことがなく、
テレビで見るキャラクターの名前以外しゃべれなかった子が
行った先の施設でかっちりしたブレザーを着て入学式に出席している写真を見て
その後彼の書いた作文を読んだときです。
涙が出そうになりました。
人の伸びしろの臨界期なんて、
いくらでも超えられるのかもな、と可能性を教えてもらった気分でした。
8.メディアの報道と実際について
前回の記事でも言いましたが、私たちは決して保護したいという”気持ち”のもとで保護しているわけではありません。
きちんとした手順に則り、個人の意見ではなく、所全体の意見としてそれが適当だと判断されたときや、
警察の判断により、拒否の出来ない一時保護となる場合に限ります。
報道はどうしてもその性質から、悲劇ばかりを切り取ります。
その方が市民は注目するからです。
もちろん全くの事実ではないとは言いません。
多くは事実です。
しかしながら、児童相談所や私たちの働きが子どもたちにプラスに働いたことは
どうしてもクローズアップされにくいものです。
苦情はダイレクトに、その組織の中心に届きます。
しかしながら感謝されたことは、見向きもせず
その本人にすら届かないこともあります。
私たちも子どもたちに何か『してやってる』なんて恩着せがましいことは一切思っていません。
もし将来、振り返ったときに保護所が楽しい思い出だったらいいな、くらいです。
沢山退所した子どもたちから感謝の手紙をもらいました。
でもそれは私の宝物であって、報道してもらうものではありません。
救えなかった命に、私たちの責任は間違いなくどこかにあるんだと思います。
(はっきりと言えないのは、私たち保護所の職員は彼らの家庭の調整に関わる職務ではないから)
基本的に職員も諦めたり、適当に仕事しているわけではありません。
でも中にはプロ意識の低い職員がいることも私は知っています。
とにかく自治体にはその意識の低い人間をこの職に就かせないでほしい、
そういった人事の目をきちんと持って人選してほしい、という願いだけです。
そして、私たちもいかに保護所の子どもたちに実りある保護期間を過ごしてもらうか、に注力して運営に当たる事しかできないので、とにかくそこだけにこだわり日々職員間で意見をぶつけながら仕事をしている、という事はお伝えさせてください。
9.元職員としての願い
言うても私は元職員です。
採用試験の時に伝えたことは、
とにかく私は、子どもの笑顔を増やす能力があります。
私は子どもにいかに保護所で得たものを退所時に持ち帰ってもらうかという事を考えて運営に当たります。
保護期間をマイナスの期間ではなく、家族と離れて寂しかったけど、何かができるようになった、楽しいことがあった、とプラスで締めくくれる生活の提供に全力を尽くします。
以上に尽きます。
(事実です)
実際に子どもにイベントを企画するときは
身体を張って顔をドンキで買った絵の具を使って黄色に塗り
アマゾンで買った衣装とゴーグルを身にまとって
ミニオンズになったこともありますし、
減免の効く遊園地を探して、
史上初の遊園地への遠足を実施したり。
史上初の登山と、グループで計算しながら好きな食事をし、
残ったお金でコンビニでお菓子買い放題ツアーも企画。
子どもたちはいずれもとても楽しんでくれて
退所後にトラブルを自ら起こし、『また保護されたい』と言いながら再入所した子も。。。
(それは全然良くないことなんですけど)
本当に、私はどの子を引き取っても良いと思うくらい
職場の子がかわいくて仕方なかったですし、
どの子にも幸せになってほしいという気持ちに偽りはありませんでした。
自分も育児を始めて、
保護所の子どもに心身ともに全力を投じることができなくなって
その無力さから私は退職しました。
その点は無責任かもしれませんが、機会があったらまた公的機関などで
公的に児童福祉と向き合いたいとも思っています。
常に世の児童に健全で有益な成長に貢献したいと思う気持ちは変わりません。
また、私の現職は、ママの心を大切なポイントでしっかりケアすることで
いずれは虐待の芽を摘むことにつながると自分の中で納得できたからです。
熱意をもって職務に当たっている職員もいるという事を
私もこういった媒体を通して少しでもご理解頂けたら、と思っています。
私が在職中に関わった子どもたちは延べ2000人ほど。
どの子も、元気に、幸せになっていてほしいと今でも思っています。
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